(1)カルデスモンをNTCBで切断し、DEAE-カラム、ゲル濾過カラムにより18kDaのN-端断片を得た。この断片はアクチン結合部位、カルモジュリン結合部位を含まず、ミオシン結合部位のみを含んでいた。またカルデスモンをalpha-キモトリプシンで切断し、DEAE-カラム、カルモジュリンアフイニテイカラムにより、38kDaのC-端断片を得た。この断片はアクチン結合部位、カルモジュリン結合部位を含み、ミオシン結合部位は含まれていなかった。モ-テイリテイアッセイ法、ATPase活性法により、これらの断片がアクチンミオシン相互作用に及ぼす影響を調べたところ、N-端断が促進、C-端断片が阻害効果があることが分かった。以上の結果はカルデスモンがアクチンに結合することにより平滑筋収縮を阻害する方向に、またミオシンに結合することにより促進の方向に制御していることを示唆している。 ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)をCNBrで切断し、DEAE-カラム、フェニルセファロースカラムにより、29kDaのN-端断片を得た。この断片はアクチン結合部位を含むが、キナーゼ部位は含んでいなかった。この断片はインタクトなMLCKと同様に、アクチンミオシン相互作用を阻害した。この結果は、MLCKがアクチンに結合することによって、平滑筋収縮をキナーゼ活性を介さずに負の方向に制御していることを示唆している。
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