ショウジョウウバエを用いたDNA修復におけるポリ(ADP-リボース)合成酵素の機能解析 ポリ(ADP-リボシル)化は、核内のタンパク質にポリ(ADP-リボース)残基を付加する反応で、阻害剤を用いた実験から、細胞の増殖や分化との関連が示唆されているが、未だにその生理的役割は不明である。そこで、タンパク質のADP-リボシル化の生理機能を解析する上で、有用と考えられるアフリカツメガエル、サクラマス、ショウジョウバエから単離した本酵素の_cDNAを用いて、卵割に伴う遺伝子レベルでの変化を解析した。また、ショウジョウバエでは、本酵素遺伝子の欠損した変異体を得ることを試みた。 今年度の結果は次の通りである。 1)アフリカツメガエルの_cDNAをプローブとして発生のどの時期に発現されるかを検索し、本酵素の遺伝子発現は発生初期に高く、漸減 することがわかった。また、mRNAのin situハイブリダイゼーション法によって、これらのmRNAの局在を調べた結果、表皮、脊索に高い発現が認められたが、その他、特に局在は認められなかった。 2)クローン化したショウジョウバエのポリADP-リボース合成酵素遺伝子をプローブとして唾腺多糸染色体上でのポリADP-リボース合成酵素遺伝子の位置を決定した。 3)既に単離されている突然変異の中から、ポリADP-リボース合成酵素遺伝子の座位と同じ位置にマップされる突然変異体、5つを同定した。いずれの変異体もホモ接合体で致死であった。サザンプロットハイブリダイゼーション法によりポリADP-リボース合成酵素遺伝子の欠失を解析している。
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