研究概要 |
アネキシンXIの細胞核内移行機構解明の上で、src癌遺伝子によってトランスフォームされたラット線維芽細胞(SR-3Y1)に於いてその細胞内局在がどのように変化するかを検討した。 アネキシンXIはSR-3Y1細胞内においては、その約14%が燐酸化を受けており、燐酸化アミノ酸はSer,及び、Thr残基であった。[^<32>P]正燐酸、[^<35>S]メチオニンで標識した細胞を粗核画分、細胞質画分、粗膜画分に分画し、それぞれの画分中からアネキシンXIを免疫沈降したところ、燐酸化アネキシンXIは、非隣酸化アネキシンXIとは異なり、細胞質画分に回収された。また、燐酸化アネキシンXIはPSヴェジクルとカルシウム存在下でも、結合しないことが判明した。アネキシンXI燐酸化酵素を同定するために、src癌遺伝子産物チロシンキナーゼの下流で活性化されているMAPキナーゼによるin vitroでの燐酸化を検討したところ、アネキシンXIはMAPキナーゼによって燐酸化されるものの、燐酸化アネキシンXIはやはり、PSヴェジクルとカルシウム依存的に結合し、その燐酸化ペプチドマップは、SR-3Y1細胞内で燐酸化されたアネキシンXIのそれとは明らかに異なるものであった。 以上の結果から、アネキシンXIの細胞内核移行は、アネキシンXIの燐酸化によって制御されており、細胞の悪性化に何等かの関与をしている可能性が示唆された。
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