研究概要 |
多くの生体蛋白質が非酵素的に糖付加反応(メイラード反応)を受けている。特にその後期反応生成物(Advanced Glycation End products:AGE)が老化現象あるいは糖尿病合併症と密接に関係すると想定されている。最近、AGE構造を特異的に認識する細胞膜レセプター(AGEレセプター)の存在が指摘され、AGEの生物医学的意義解明の重要な糸口として注目されている。本レセプターはマクロファージ(Mphi)系細胞に特徴的に発現し、種々の化学修飾タンパク質を特異的に認識するスカベンジャーセプターの一員と考えられる。AGEレセプターの構造と機能の解明を目的として、本研究ではAGEレセプターの単離、および単離レセプターの部分アミノ酸配列の情報に基づき、レセプターcDNAのクローニングを試みた。我々は、本レセプターがヒト単球培養細胞(THP-1、U397)、ラット肝類洞細胞、ラット腹腔Mphi、マウスMphi系細胞(RAW264.7、P388D.1)の各細胞膜上に発現する事を確認した。特に結合活性を高く示すU937細胞の膜可溶化画分より、AGE-BSAアフィニティーカラム、MonoQ、MonoS-FPLCを用いてAGEタンパク質に結合性の分子量90K,48K,28K,及び18Kの4種のタンパク質を精製した。これらそれぞれのN末端部アミノ酸配列を解析したところ、バロシン含有タンパク質(90K)、チトクロームP450IID(48K)、ヒストンH28.1(18K)と同一であることがわかったが、28Kタンパク質に関してはこのN末端部と同一性を示す既知のタンパク質は見いだせなかった。そこで28Kタンパク質のN末端部、及びCNB_r分解ペプチドの各部分アミノ酸配列に基づいて数種の合成オリゴヌクレオチドを作成し、これらをプローブにしてU937細胞より調整したcDNAライブラリーのスクリーニングを行っている。得られたcNDAクローンの塩基配列解析により28Kタンパク質の一次構造を決定する予定である。
|