研究課題/領域番号 |
05770113
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 公伸 東北大学, 医学部, 助手 (50187142)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 子宮内膜癌 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / エストロゲン代謝 / アロマターゼ / p53 |
研究概要 |
子宮内膜病変の遺伝子変化に関与する検索として腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子の変化を検討した。腫瘍抑制遺伝子としてはp53がPCR-SSCP法によりexon5からexson8までの遺伝子変異の有無を検討すると29例中5例(17.9%)で変異を認めた。又遺伝子異変をよく反映するp53の免疫組織化学では単クローン抗体007を用いて33例中15例(45%)と比較的高い頻度で陽性所見を認めた。又組織学的分化度が低くなるほどp53の異変は高率で観察された。又このp53の陽性細胞ではmRNA発現亢進を伴っていない事をin situ hybridizationで証明した。p53の異変は内膜癌の前癌病変とも考えられている内膜増殖症では認められなかった。これに対して癌遺伝子であるK-rasの変異は、内膜癌272例中28例(10.3%)でcodon12又は13の点突然変異が観察され、異型増殖症で9例中1例に認められている。この事からp53の変異は、癌化過程の比較的後期で生じてくるのに対してK-rasの変化は異型増殖症を含む早期からおこっている事が示唆された。 アンドロゲンをエストロゲンに転換させるaromataseは子宮内膜病変70例で、発現、および生化学的活性も含めて多角的に検討した。aromataseは正常、子宮内膜増殖症では発現、活性共にほとんど見られないが、癌症例では^3H-water法で検討した活性が認められてきた。免疫組織化学、in situ hybridization法でaromatase発現の局在生を観察してみると、腫瘍細胞ではなく腫瘍包巣周囲の間質細胞で蛋白、mRNA双方のレベルで発現していた。この事は、子宮内膜病変で血中のアンドロゲンからエストロゲンに転移させて局所のエストロゲン濃度を高めるaromataseの発現は癌化のプロセスと深く関係しており、腫瘍局所でin situに産生されたエストロゲンはparacrine的に内膜癌細胞の増殖に関与している事が考えられた。現在癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子の変異とaromatase発現の関係を検討中である。
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