われわれは、cripto cDNAを用いたサザンブロット法により、胃癌及び腸上皮化生粘膜において高頻度に欠失するsignalを約2.2kbのサイズに発見していたが、この2.2kb signalを同定するため、以下のように研究を施行した。 上記の2.2kb signalの欠失していない、大腸癌細胞株WiDrから高分子DNAを抽出し、アガロースゲル電気泳動にて展開した後、2.2kbを中心とするゲルを切り出した。このゲル断片からDNAを抽出し、charomidベクターにライゲートした。これらのクローンを対象として、cripto cDNAを用いたプラーク ハイブリダイゼーション法を行ったところ、8個の候補となるクローンが得られた。 現在、これらのクローンのキャラクタライゼーションを行っているが、そのうちの1クローンにおいて、シークエンシングにて明らかとなった部分的塩基配列を用い、相同性の検索を行ったところ、チトクロームP450酵素系の遺伝子と約60%の相同性を有することが明らかとなった。現在、さらに、残る塩基配列のシークエンシングを行っている。さらに、本遺伝子の全容を解明するため、ヒト ゲノム ライブラリーを入手し、スクリーニングの準備を行っている。 また、これとは別に、上記の欠失が見られる遺伝子がcripto遺伝子か、または、その関連遺伝子である可能性も考慮し、既に行ったノーザンブロット法にてcripto mRNAの発現が見られなかったMKN-28胃癌細胞株から、cDNAライブラリーを作成しつつある。
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