研究概要 |
1)ヒト胆嚢粘膜移植片(microexplant)の作製:胆石症の診断で,開腹手術により摘出された胆嚢を,直ちに無菌的に切開し,胆汁を流出させた.粘膜面に付着した胆汁成分を滅菌ガ-ゼで拭き取り,氷冷ハンクス液で充分洗浄した後,肉眼的に著変のない部位を選んで,粟粒大の粘膜片を線維筋層を含まないように剥離切除し,微小移植片(microexplant)を得た. 2)ヒト胆嚢粘膜上皮の初代培養系の確立:作製したmicroexplantをI型コラーゲン・ゲル上に静置し,15%牛胎児血清添加培養液(DMEM/HamF12)を重層し,5%CO_2インキュベータ-内に初代培養した.ほとんどのmicroexplantはコラーゲン・ゲルに接着し,培養2日にはヒト胆嚢上皮細胞が周囲のコラーゲン・ゲル上に増殖するのが位相差顕微鏡で確認できた.上皮細胞は培養7日までコラーゲン・ゲル表面を進展増殖し,培養面積が増加したが,以後はコラーゲン・ゲルから剥離し,培養面積は縮小した.移植片が小さいほど間質細胞の増殖は少なく,1〜2週間では上皮の増殖に与える影響は少なかった.上皮細胞の形態は扁平であり,in vivoのごとく円柱状のものはみられなかった.また,粘液産生像は認められなかった. 3)培養上皮細胞へのHLA-DRおよび接着分子の誘導:培養4日目に培養液中にインターフェロン-gamma(100ng/ml)を添加して一週間培養し,培養上皮細胞にHLA-DRおよびICAM-Iの発現誘導を試みたが,凍結切片を使用した酵素抗体法では検出できなかった.
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