アクチン、トロポミオシンの結合蛋白であるカルポニンはin vitroとex vivoの実験より血管平滑筋収縮の調節に関与する可能性が示されている。今回、カルポニンのin vivoでの作用を明らかにするために血管平滑筋特異的にカルポニンを過剰発現するトランスジェニックマウス(Tgマウス)の作製を計画した。 Tgマウスにおいて血管平滑筋特異的に導入遺伝子を過剰発現させるためのトランスジーンの構築は開発されていない。このため本年度はヒト血管平滑筋型alpha-アクチン(HSMA)の3種類のプロモーター部位にCAT(chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子をつないだTgマウスを作製し、CAT活性を調べることにより血管平滑筋特異的に強く発現するHSMAのプロモーター部位の決定を試みた。 3種類のトランスジーンの構築のうち、EA4.7-CATはHSMA遺伝子5'上流-891から第2エクソン内の+3830までを持ち、EA4.7-CATTgマウスでは大動脈、小動脈、及び消化管粘膜筋板の平滑筋で強い転写活性がみられ、この部位に平滑筋特異的な転写活性部位のあることが予想される。HSMA891-CATは5'上流-891から第1イントロン内の+49までを持ち、HSMA891-CATTgマウスの血管平滑筋では、EA4.7-CATより非常に弱いものの、組織特異的発現の可能性のある結果が得られている。HSMA123-CATは5'上流-123から+49までを持ち、HSMA891-CATよりさらに弱い転写活性を示したが、その組織特異的発現の詳細については現在検討中である。
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