CTXの活性機序;CTXが標的細胞膜上で145-150kDaのオリゴマーを形成することが確認された。赤血球を利用し解析を行うと、赤血球の動物種・インキュベーション時間・温度・pHを変化させた場合の溶血活性の変化に相関して、オリゴマー形成が増減することが認められた。また、ヒトリンパ球・ウサギ多形核球膜上でも、同様のオリリゴマ-が形成されることが確認された。これらのことより、CTXの細胞崩壊活性に、オリゴマー形成が密接に関与すると考えられた。加えて、内部マーカーとしてカルボキシフルオレセイン(CF)を封入したリポソームからのCFの流出がCTX濃度依存的におこることとともに、リポソーム上にもオリゴマーが形成されることが見い出され、オリゴマー形成が標的細胞膜のタンパク質の有無に関わらずおこることが示された。 CTXをジエチルピロカルポネート処理することにより細胞崩壊活性が消失した。このことより、CTXに存在する6個のヒスチジン残基が機能的に重要であることが示唆された。 CTXの構造と機能;CTXの前駆体毒素の精製に成功した。この前駆体毒素には活性が認められず、また、前述のオリゴマー形成能をもたない。この前駆体毒素と活性型毒素とのトリプトファン蛍光スペクトルの比較の結果、前駆体が活性型へ変化することにより、最大エミッション波長が335nmから342nmへ移行するとともにエミッション強度が減少することが明らかになった。これは、三次構造の変化、つまり、分子表面がより親水性の環境に変化し、トリプトファン残基がより分子内にフォールディングされることが示唆された。
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