現在、コレラ菌が産生する下痢原毒素としてはコレラ毒素(CT)の他にZOT(zonula Occludens Toxin)やACE(Accessory Cholera Enterotoxin)が報告されている。我々はまずZOTに着目して、この精製を試みることにした。まずコレラ菌GP14株の全菌体DNAからZOTをcodeする遺伝子断片(zot)をクローニングした。これを鋳型にして、両端に6amllI切断部位をもったzotをPCR法により構築し発現ベクターのpTrcllisに挿入した。しかし、このクローンは、増殖しなかった。そこで、作られる融合蛋白がpTrcllisよりも安定だと言われるpGEX-2Tに同断片を挿入したが増殖しなかった。1992年に、Kooninは、zotの核酸配列からZOTは膜蛋白である可能性をしめした。そこで、膜貫通部位と考えられるカルボキシ末端の3分の1を削除したdeletion mutantを構築して、pGEX-2Tに挿入し発現させたところ、目的とした融合蛋白がえられた。この融合蛋白から切り出して精製したZOTのアミノ末端部分で家兎を免疫し、低いタイタ-ではあるが抗ZOT家兎血清を得たので、この血清を用いてZOTに対する高感度ビーズELISAを作製した。現在、この検出系をもちいて、野生型と6acillus brevisの発現系で完全なZOTの精製を試みている。
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