研究概要 |
既にクローン化され塩基配列の決定も完了していたVp‐TDHおよびVh‐rTDHの各構造遺伝子を用いて下記の研究を行った。 1.site‐directed mutagenesisによるVp‐TDH,Vh‐rTDH構造遺伝子への共通制限酵素切断部位の付加. site‐directed mutagenesisによりVp‐TDH構造遺伝子にHincIIの部位を,Vh‐rTDH遺伝子にSau3AIの部位を新たに導入した.HincIIはVh‐rTDH遺伝子の相当する部位に,Sau3AIはVp‐TDH遺伝子の相当する部位にそれぞれ存在しているものである.これら2つの制限酵素切断部位に加え,Vp‐TDHおよびVh‐rTDHの両者に共通に存在していたHapIIおよびNdeIの計4つの部位を用いてVp‐TDH,Vh‐rTDH構造遺伝子間でのfusion遺伝子の作製を行った. 2.Vp‐TDH,Vh‐rTDH構造遺伝子間での一連のfusion遺伝子を作製および大腸菌内での発現. 上記制限酵素切断部位を用い,これまでに計18種類のfusion遺伝子の作製した.これらの遺伝子を発現ベクターに導入し大腸菌内で発現させ,すべてのクローンから溶血活性のある遺伝子産物の産生が確認された.これら産物の耐熱性を検討することでVp‐TDHの耐熱性に重要であると考えられる構造を解析した結果,Vp‐TDHはN未端より69位から138位の領域のアミノ酸配列がVh‐rTDHのものに置換されると耐熱性を失うことが明らかになった. Vp‐TDHとVh‐rTDH間には本領域中に13個のアミノ酸置換が見られる.これら置換の見られるアミノ酸残基がVp‐TDHの耐熱性に重要であると考えられるので,今後この点について追求していく予定である.
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