研究課題/領域番号 |
05770206
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小田原 隆 (1994) 東京大学, 医学部, 助手 (40204218)
小田 原隆 (1993) 東京大学, 医学, 助手
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | RNAスプライシング / レトロウイルス / 分子生物学 |
研究概要 |
本研究は、レトロウイルスが、env-mRNAへとスプライスされるはずのRNAを、非スプライスRNAのままでも核から細胞質へ移送している機構を解明することを目的に行なった。 マウス白血病ウイルスのGag蛋白を効率よく発現するウイルスベクターを構築する際に、pol領域に2.4kbの欠失をもち、gag及びenvをコードするウイルスGE6.4は、よくGag(並びにEnv)蛋白を発現したが、GE6.4から残存pol-env部分の殆どを欠失し、gagだけをコードするようにしたG3.6では、RNA、蛋白の発現が大きく減少した。この原因として、Env蛋白発現の有無は無関係だったが、GE6.4からスプライスアクセプターを含む441塩基を欠失すると、gag-RNAの発現がG3.6と同じレベルまで低下することが分かった。G3.6のgag遺伝子下流にこの441塩基部分だけを戻すことで、gagをコードする非スプライスRNA量を上昇し、Gag蛋白発現を回復できた。しかし、GE6.4で、この441塩基部分を逆位させても、欠失させた場合と同様にgag発現量が減少したので、この部分はエンハンサーとして機能しているわけではない。核と細胞質とを分けてRNA量を比較したところ、G3.6の非スプライスRNAは、GE6.4に比して、核内に多く留まっていることが分かった。従って、スプライスアクセプターを欠くG3.6のRNAは、核から細胞質への移行が悪く、核内で壊れてしまうため発現量が低下すると結論された。 gag遺伝子をneomycin耐性遺伝子に変えた場合には、上のような現象は認められず、スプライスアクセプターの有無に係わらず、非スプライスRNAが効率よく発現した。gag遺伝子が自らのRNA(=非スプライスRNA)発現のためにスプライスアクセプターを必要とすることは、ウイルスが非スプライスとスプライス両方のRNAを発現する上で合理的であると考えられるが、gag遺伝子配列内にそのような決定配列があるのかは今後の検討を要する。
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