1.p8を発現する大腸菌組換え体の作製及びその欠失変異体を2種作製した。1つは、gag領域及びプロテアーゼ領域を含む組換え体であり、もう1つは、gag領域のみの組換え体である。ウエスタンブロット法で、前者にはマトリックスプロテイン(p15)、キャプシドプロテイン(p26)及びヌクレオキャプシドプロテイン(p8)が検出された。一方、後者にはgag前駆体タンパクのみが認められた。これらを用いてノースウエスタンプロット法によるウイルスRNAとの結合性を検討した結果、現在のところ、p8とウイルスRNAとの結合は観察されたが、前駆体とウイルスRNAとの結合は確認できていない。 2.当初、組換え体を用いてp8分子内のウイルスRNAと結合する最小領域の同定を計画したが、より効率的と考えられる紫外線架橋法を用いて合成ペプチドとウイルスRNAとの結合実験を行なっている。その結果、p8のアミノ酸配列に相当する合成ペプチドを用いて、RNA結合機能を有する最小領域の同定を試みている。 3.更に、p8の血清学的検出を容易にするために、p8の合成ペプチドを抗原に用いてマウス単クロン抗体を作製している。 4.今後は、2で決定したp8分子内のウイルスRNAと結合する最小領域のアミノ酸配列に相当する遺伝子をCD4陽性細胞内に導入後、ペプチドの発現を単クロン抗体等を用いて確認し、更にこの細胞にHIVを感染させた後、非感染細胞への感染実験への感染実験及び電子顕微鏡を使用してウイルス感染細胞内のウイルス粒子を観察する予定である。
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