昨年度までの研究でマウスB細胞に発現し、lgMレセプターと結合する52kDaの分子p52を認識するモノクローナル抗体19-14を作製した。本年度は19-14をプローブとしてlambdagt11cDNAライブラリーをスクリーニングして、p52をコードする候補cDNAを得た。得られた600bpのcDNAをシークエンスしたところ未知の分子であることがわかった。p52をコードする完全長のcDNAクローンを得るためにこの600bpのcDNAクローンをプローブとして、別のcDNAライブラリーをスクリーニングした。2×10^5クローンのサイズのライブラリーから17クローンのcDNAを選択してシークエンスしたところ、全て同じ配列を含むことがわかった。このうち最長のcDNAクローンは1.4kbpであった。このcDNAクローンがコードするタンパクの大きさ、性状を解析するためにグルタチオンSトランスフェラーゼとの融合タンパクを合成する発現ベクターにこのcDNAを組み込み、大腸菌で発現させた。合成された融合タンパクを精製してウエスタンブロットを行ったところ、p52を認識するモノクローナル抗体19-14はこの融合タンパクと特異的に反応した。従ってこのcDNAクローンは、p52をコードする可能性が高いことが示された。今後はこの融合タンパクをウサギに免疫して抗血清を得てこの血清が19-14と同じくp52を免疫沈降できるかを調べこのcDNAがp52をコードするかどうかを明らかにする。このcDNAクローンをプローブとしてヒトB細胞株mRNAのノザンブロット、ゲノムDNAのサザンブロットを行い、クロスハイブリダイゼーションの条件を決定し、ヒトB細胞株cDNAライブラリーをスクリーニングしてヒトp52cDNAのクローニングを試みる。
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