研究概要 |
1.目的:我々はモルモットの2種類のFcgammaR(Fcgamma1/gamma2R,Fcgamma2R)のうちFcgamma1/gamma2RのcDNAをクローニングしてその全塩基配列を決定し、ヒトFcgammaIIR,マウスFcgammaIIRbeta2に相当するグループ2FcgammaRであることを既に報告している。この際、Fcgamma1/gamma2RのcDNAクローン(D-3)の他にモルモットFcgammaRのcDNAとして可能性のあるB-1クローンを得た。今回その解析を行い、未発見のモルモットFcgammaRcDNAの同定を目的として研究を進めた。 2.方法・結果・考察: (1)全長1.8KbのB-1クローンを20種類の制限酵素により切断し制限酵素地図を作製したところ、D-3クローンとは明らかに異なることがわかった。この結果より、B-1cDNAはモルモットの新しいタイプのFcgammaRをコードしている可能性が高いのでB-1のシークエンスを開始した。 (2)B-1をM13mp18ベクターに組み換えて3'末端からエクソヌクレアーゼIIIで種々の長さに切除したDeletion Mutant8種類を作製した。その断片の塩基配列を各々3'末端より決定しつなぎ合わせることによりB-1の全塩基配列を決定することとした。 (3)シークエンスに関してはビオチン化プライマーを用いたダイデオキシ化学発光法で行ないダイデオキシRI法と同程度の感度で塩基配列を決定できた。約300ベースをシークエンスした時点で、モルモットの他のタイプやヒトおよびマウス、ラットのFcgammaRとの部分的ホモロジー解析をGENETYX遺伝情報処理ソフトを用いて行った。その結果、決定した塩基配列はヒトFcgammaRIII-2の細胞膜貫通部分と最も相同性が高く、膜貫通部分だけで76.2%の相同性を示した。また、細胞内アミノ酸の数や終止コドンの位置も一致しており、モルモットでは未発見のグループ3FcgammaRの細胞膜貫通部分、細胞内部分、3'非翻訳部分であると考えられた。 (4)しかしこのB-1クローンには細胞外部分をコードする領域が含まれておらず、モルモットのグループ3FcgammaRのcDNAの全長を得るためには、さらに、B-1クローンをプローブとして、モルモットマクロファジ-のcDNAライブラリーより改めてスクリーニングを行う必要のあることが判明したので、以後行う予定である。
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