未熟B細胞を特異抗原あるいは抗IgM抗体(alpha-mu)で刺激することにより、アポトーシスの特質を備えたプログラムされた細胞死(PCD)がもたらされたことが知られており、自己抗原に対する免疫寛容導入のin vitroでのモデルとして注目されている。PCD誘導の際には、新たなmRNA、蛋白合成を必要とするが、その詳細な分子機構については不明な点が多いことから、本研究ではサブトラクション法を用いてPCDの際に発現が変化する遺伝子群の同定を試みた。今年度は、主としてサブトラクションライブラリーの作成およびサブトラクション効率の検定を行った。 (1)マウス未熟B細胞株であるWEHI-231由来で本研究室で樹立したCD45陰性変異株である10-5細胞においてalpha-mu刺激によりPCD誘導が強く認められた。 (2)10-5について、alpha-mu刺激、未刺激後24時間の細胞よりpoly(A)RNAを抽出して、2本鎖cDNAを合成しそれぞれ-cDNA、+cDNAとした。 (3)(+)-(-)と(-)-(+)との両方向からのサブトラクションを2回行ったところ、それぞれ対照群に比べて目的遺伝子群は10倍以上に濃縮されていた。 (4)(+)-(-)サブトラクシヨンライブラリーからPCDに際してup-regulateを受ける候補遺伝子クローンを単離し、現在その塩基配列も含めて解析中である。
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