1、測定系の確立 生体への作業負担の複合影響を評価するためにポリグラフ測定系、作業姿勢評価系を確立し、これを全身及び局所疲労感からなる自覚症状測定と対比させて用いた。 2、作業姿勢と作業速度の複合影響に関する実験 6名の健康な被験者に簡単なコンピューター入力タスクを課し、同時に作業面高と作業速度を変化させてその複合影響を観察した。上記で確立した測定系を用いて、8チャンネルの表面筋電図(左右橈側手根伸筋、左右三角筋、左右僧帽筋、右体幹起立筋背部及び腰部)を同時記録するとともに、写真計測による姿勢評価及び自覚症状の測定を行った。 3、実作業模擬作業としての給食調理作業に関する実験 10名の健康な現役の学校給食調理作業員を被験者として、実際の調理に関連した野菜切り、皿洗い等の作業を課して、その上で作業面高と作業速度を変化させて、6チャンネルの表面筋電図(左右母指球筋、右橈側手根伸筋、右僧帽筋、右体幹起立筋背部及び腰部)及び体幹角度計を用いた体幹角度の連続測定を行った。 4、実験から得られた知見 これらの実験から、作業姿勢の変化による筋負担は作業速度の増大によって増強される、三角筋・体幹起立筋のように通常の作業速度ではそれほど活動していない筋群も作業速度の増大によって動員される、背もたれやプロップ椅子の使用はこうした負担緩和に一定の効果を有することが明らかとなった。
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