山梨県下の一農村地域の女性120人に対して、骨塩量を測定し、末梢血から抽出したゲノムDNA多型との関連をみた。骨塩量はDEXA法で測定した。DNA多型はコラーゲン遺伝子について検討した。既に塩基配列の決定されているコラーゲンI型A2遺伝子のなかに(TTTTTG)_n繰り返し配列が存在したためこの領域を含む部分を増幅するようにPCRプライマーを設定した。PCR産物は8%ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動された。30人の血縁関係のない個人についてその多型を検討したが、このグループでは多型は存在せず、全て(TTTTTG)_6(TTTTTG)の配列であった。そこでコラーゲンI型A2遺伝子のIntron12からExon13に存在する多型をPCR-RFLP法で検討した。その結果、対立遺伝子1の頻度は0.44、対立遺伝子2の頻度は0.56であり、白人に比べて対立遺伝子1の頻度が多かった。次にこの遺伝子多型と骨塩量との関連について検討した。対立遺伝子1のホモ接合体の個体の骨塩量の平均値は1.028±0.226、ヘテロ接合体は0.866±0.153、対立遺伝子2のホモ接合体の平均値は0.987±0.078であった。年齢で標準化したZ値はそれぞれ1.97、0.51、1.68であった。骨塩量を決定する遺伝子は複数の遺伝子によると考えられている。その中の一つとしてコラーゲン遺伝子は考えられているが、今回の結果でその結論を出すまでには至らなかった。しかしながら骨粗鬆症患者のなかにこの遺伝子の変異が見つかっていることから骨塩量決定に際してもこの遺伝子は重要な役割をもっているものと考えられる。
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