研究課題/領域番号 |
05770267
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川上 憲人 岐阜大学, 医学部, 助教授 (90177650)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アルコール乱用・依存症 / 勤労者 / 疫学 / 有病率 / 危険因子 / スクリーニング尺度 / 構造化面接 |
研究概要 |
ある企業の男性従業員4444名から男性飲酒者98名を無作為に抽出した。これらを対象として訓練を受けた精神科医および臨床心理士各2名がWHO統合診断面接基準(CIDI)日本語版(草案)のセクションI(アルコール)を用いて、平均20分間の構造化面接を実施した。またその後、短縮版ミシガンアルコール症スクリーニングテスト(SMAST)、久里浜アルコール症スクリーニングテストおよびCAGEに記入を求めた。 結果として、勤労飲酒者の中のアルコール乱用・依存症の2週間、1カ月、6カ月,1年および生涯の各期間有病率(%)は、DSM-III-R診断基準で22.6、33.9、39.6、43.7、51.9、ICD10診断基準で6.4、8.5、16.4、20.0、20.0と推定された。製造・組立従事者、毎日45mg以上のアルコール飲用、飲酒時の顔面紅潮(フラッシング反応)なし、FH-RDCによるアルコール乱用・依存症の家族歴ありの場合にアルコール乱用・依存症の生涯有病率が有意に高かった。(p<0.05)。アルコール乱用・依存と診断された者のうち、精神科医またはカウンセラ-などの専門家を受信した者は1名のみであった。また、アルコール乱用・依存症を判別するためのアルコール症スクリーニングテストについては、CAGEを除く2尺度のクロンバックalphaによる信頼性は十分に高かった。またROC曲線を用いたスクリーニング効率の比較においては、SMASTおよびKASTが同等の効率を示し、CAGEのスクリーニング効率はSMASTにくらべて有意に低かった(p<0.05)。 以上の結果から、わが国の勤労者においてもアルコール乱用・依存症が高頻度にみられることが明らかとなった。本研究で得られた生涯有病率は米国の同様の研究にくらべて高かった。今後軽症アルコール乱用・依存症の予防対策の重要性が示唆される。アルコール乱用・依存症のスクリーニングテストとしてはSMASTまたはKASTの有効性が示された。
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