研究概要 |
1.血清総コレステロール値とがん死亡との関連について 1980・81年に25、30、35、40、45、50、55歳に達する職員を対象に某自治体で実施した健診(身体測定、血圧、尿.血液検査など)受診者5,796名をコホート集団として、1991年9月1日まで追跡し、在職中あるいは年金受給中の全死亡者を把握した。追跡不能例は11.8%であった。その結果、死亡の判明したものは131名でがんによる死亡は73名であった。この死亡者に対し、性、年齢、健診受診年、現業・非現業をマッチングし、各々採用年の最も近い2名を対照として設定、nested case-controlの手法で血清コレステロール値とがん死亡との関連を検討したところ、男のがん死亡者では対照に比較し約13mg/dl血清コレステロール値が低く(有意)、また血清コレステロール値が10mg/dl上昇した場合のがん死亡リスクは0.91に減少(有意)した。この負の関連は観察期間を健診後6年目以降に限っても認められた。女では血清コレステロール値とがん死亡との間に関連は認められなかった。 2.血清総コレステロール値とがん罹患との関連について(今年度の進行状況) 在職中死亡は把握されている。在職中のがん罹患は在職中に1週間以上休む場合に提出が義務づけられている診断書が1990年分より入手可能であったので、現在そのコーディングを終了し、コンピュータで使用可能な形に入力中である。また退職者名簿を入手し、1989年以降の健診受診者を対象とした在職者コホート集団(退職までを追跡する)として追跡体制を整備した。 3.今後の計画 1989年以降の健診受診者を対象とした在職者コホート集団(退職までを追跡する)をがん罹患・死亡まで追跡し、血清総コレステロール値のみならず各種健診結果との関連を検討する予定である。
|