MNSs式血液型について、耐熱性Ligase(Pfu DNA Iigase)を用いたLigase Chain Reaction(LCR)法によりDNAレベルでの血液型判定法の確立を企図した。 1.MNSs型(5例)、MNs型(10例)、MSs型(3例)、Ms型(5例)、NSs型(2例)およびNs型(10例)の各血液型の血液から常法によりDNAを抽出した。 2.M型とN型の抗原の相違部分、すなわちN末端から数えて1番目のアミノ酸の相違する塩基部分を3´末端にデザインした20bpのオリゴヌクレオチドと、それに隣り合った20bpのオリゴヌクレオチドおよび各オリゴヌクレオチドに相補的な2本のオリゴヌクレオチドを作製した。M型検出用、N型検出用の2種類、合計6本のオリゴヌクレオチドを作製した。また、S型とs型の検出においても、N末端から数えて29番目のアミノ酸の相違する塩基部分を検出するために、同様に6本のオリゴヌクレオチドを作製した。 3.各オリゴヌクレオチドと鋳型DNAを用いてLCR反応を行った。LCR反応はLCR KIT(STRATAGENE)を用いて反応を行った。反応温度は、KITの添付マニュアルにある条件[92℃4分(1回)、60℃3分(1回)、92℃20秒、60℃20秒(25回)]の他、[92℃4分(1回)、60℃3分(1回)、92℃1分、60℃1分(20-40回)]、[94℃1分、65℃4分(20-30回)]、[95℃1分、55℃1分、65℃1分(20-40回)]等数種類の温度条件について検討を行った。また、Ligaseの濃度や鋳型DNAの量、用いるオリゴヌクレオチドの組合せ等についても検討を重ねた。結果 M型、N型、S型およびs型のいずれの型においても、未だ期待された特異的増幅産物は得られていないが、今後更にオリゴヌクレオチドの長さや反応条件等の検討を続ける予定である。
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