老人病院入院中の老人患者のADLをA(自立)、B(座位保持)、C(ねたきり)と区分し、知的機能をN(正常)とD(痴呆)とに分類した。睡眠覚醒チェックは看護婦による臨床的観察により、24時間、1時間毎に患者を観察し、睡眠か覚醒かのチェックを行った。連続14日間観察し、睡眠点数を付けた。ADL-A群の痴呆患者を夜間徘徊群と徘徊なし群に分けて、脳の糖代謝をPETで測定した。 睡眠覚醒障害とADLの関係は知的機能がN群でもD群でもADLがAからCと低下するにつれて睡眠点数は上昇した。同じADL-CではN群に比べてD群の方が睡眠点数は高値を示し、睡眠障害が高いことを示していた。夜間徘徊群は短時間睡眠型を示した。PETによる糖代謝の結果、夜間徘徊群は非徘徊群に比べ全体的に大脳皮質の糖代謝が高く、特に両側前頭葉、右の頭頂・後頭移行部で有意であった。 睡眠覚醒障害には知的機能だけでなくADLの低下が関係しており、ADL低下予防が必要である。夜間徘徊群は徘徊なし群に比較して大脳糖代謝が高いことから、痴呆患者が徘徊ができなくなると痴呆も進行する例も多く、徘徊を抑制するのみない。身の丈にあった看護が必要と思われる。
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