研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)ではIgGFcと親和性の高いmonoreactiveなリウマトイド因子(RF)が、近年クリオグロブリン血症患者由来単クローン性RFとは異なるVH,VL遺伝子に由来し、そのマーカーであるイデイオタイプ(Id)も異なることが示唆されている。そこでRA滑膜由来のmonoreactiveなRFに対するモノクローナル抗Id抗体を作製し検討を行ない、以下の成績を得た。 1)モノクローナル抗Id抗体の作製:慢性関節リウマチ患者滑膜B細胞由来のmonoreactiveなモノクローナルRF(RFSJ2)をBALB/Cマウスに免疫後、ハイブリドーマを作製し、特異性の異なるモノクローナル抗Id抗体を得た。2)抗Id抗体の認識するエピトープの解析:各種抗原特異性の異なるVH,VLの明らかなヒトモノクローナル抗体との反応性をELISAで検討し、得られた抗Id抗体の大部分がprivate Idを認識していることが明かとなった。Cross-reactive Id(CRI)を認識する抗Id抗体のうち1H7Bについて、さらに認識するエピトープの解析を行なった。その結果、1H7BはVlambda1aのFR1の一次構造を認識しており、とくにアミノ酸配列の17番目付近を認識していることも合成ペプチドを用いた検討で明かとなった。そしてこの1H7Bの認識するIdはgerm-line gene由来のものであることが示唆された。3)RA滑膜におけるCRIの発現:滑膜組織を各H鎖、L鎖特異的抗ヒトIgとの二重染色を行い、CRI陽性細胞の頻度を従来のCRI(17.109,D12,G6等)のそれと比較検討した。その結果、1H7Bと反応する形質細胞の割合は他に比して高率である例が認められた。このことは1H7BがRAの病態や治療を検討するうえで有用と考えられた。
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