研究概要 |
Wister rat大動脈由来の培養平滑筋細胞を用いてhumanIL-1alpha前処置、ratIFNgamma前処置のAngiotensinII(AII)によるIP_3ならびにDAG産生に及ぼす効果を検討した。 無前処置群においてはAIIは10^<-9>M以上で用量依存性にIP_3産生を刺激し、最大効果は10^<-6>Mで得られた。IP_3はAII(10^<-6>M)刺激10秒後にpeak値(controlの294±68%)を示し、120秒後に前値に復した。一方細胞内DAG量はAII刺激により2峰性の上昇を示し(controlを100%とすると10秒後216%、5分後185%)、30分後も尚やや高い傾向が認められた。 IL-1alpha(10ng/ml)で24時間前処置した平滑筋細胞ではIP_3基礎値およびAII刺激によるIP_3の時間的経過について無前処置細胞に比べ有意の差を認めなかったが、peak値(△IP_3)は無前処置群の平均37.6%に減弱した。このIL-1の効果は8時間の前処置で既に認められ、48時間後もほぼ同程度の効果が認められた。一方DAGに対しては結果にややばらつきが見られるもののIL-1前処置はAII刺激後10秒および5分の△DAGを18-50%減弱させた。 IFNgamma(100U/ml)前処置はAIIによるIP_3応答をIL-1と同様減弱させる傾向(平均78%)を示したが、統計的には有意ではなく、DAGに関しては結果の変動によりその効果の判定は困難であった。 IL-1のAII応答抑制の機序をindomethacin(10muM),L-NMMA(2mM)を用い検討した。IL-1によるIP_3応答抑制効果は各々の添加により概ね30%および40%前後減弱した。 以上よりIL-1はphosphplipaseCあるいはそれ以前の情報伝達系に作用しAIIによる血管収縮を抑制する機序が考えられ、この抑制にはIL-1によるprostaglandin、NOの産生亢進が介在する可能性が示唆された。
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