1.C型肝炎ウィルス(HCV)抗原の肝細胞内局在検討 HCV CORE領域の合成ペプチドを用いて作成した特異抗体にて本抗原の肝細胞内局在を免疫組織学的手法を用いて検討した。免疫伝顕法にて、HC本抗原の局在を観察し得た。per-embedding法を用いたが、HCV抗原に対するペルオキシダーゼ反応を電顕下に観察することに成功した。HCV粒子の細胞内形成過程については、現在、さらに症例を重ね検討している。Lawicryl K4M樹脂を用いたpost-embedding法を行ったが、本法ではHCV抗原の検出はできなかった。さらに反応条件等の検討を加えている。CORE領域に加えて、ENVELOPE領域の特異抗体を作成中である。 2.HCV遺伝子(HCV-RNA)の肝細胞内局在検討 HCV遺伝子の5'非翻訳領域の合成プライマーをDNA合成機を用いて作成した。本プライマーにジゴキシゲニンを標識し、肝生検新鮮凍結標本を用いて、in situ hybridization法にて、肝細胞内HCV-RNAの検出を行った。その結果、HCV-RNA陽性細胞を光学顕微鏡下に観察することが可能であった。HCV-RNA陽性細胞は、肝組織内で散在して局在していた。HCV-RNA陽性細胞と上述のHCV CORE抗原陽性細胞の分布様式について、光学顕微鏡的に解析したが、概ね局在は一致するものの、不一致例もあり、その意義については、今後の研究課題である。HCV-RNAの局在については、肝組織上でpolymerase chain reaction法を行い更に検出感度をあげられないか検討した。現在、ギゴキシゲニン法にて肝生検組織上での検出をおこなっている。
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