研究概要 |
1.対象:内視鏡的ポリペクトミ-を行なった大腸腫瘍のうち軽度・中等度異型腺腫を対象とした。 2.方法:(1) ホルマリン固定,パラフィン包埋後の組織切片より腺腫の部分を切出して試料とした。DNAを抽出し,c,-ki-ras2のcodon12を含む108bpをPCRにて増幅.(2)Suganoらの方法によりNonradioisotopic SSCP法でc-ki-ras 2のcodon12の点突然変異を検出.(3)p53遺伝子産物抗体CM1を用いてS-AB法で免疫組織染色を行なった.(4)大腸癌の食生活関連危険因子(肉類,アルコール,食物線維など),大腸癌の既往,家族歴などについて調査した. 3.研究成果:(1)温度,反応時間等の条件設定について種々の検討を行ない,ホルマリン固定後のパラフィン包埋ブロックから薄切した切片より腺腫部分のDNAを抽出し,c-ki-ras2のcondon12を含む108bpをPCRにて増幅する方法を確立した.(2)SSCPにおける泳動パターンの再現性を確認した.(3)c-ki-ras 2のcondon12の点突然変異は現在までに解析した8病変中1病変(12.5%)に認められた.(4)p53の過剰発現は8病変中1病変(12.5%)に認められた.(5)ki-ras2に点突然変異のみられた症例は,週4,5日肉食で,タバコおよびコーヒーは週6日以上摂っていたが,イモ類は週6日以上摂り,大腸癌の既往および家族歴はなく,アルコール摂取もなかった.(4)p53過剰発現のみられた症例は,線維に富む食品の摂取は週1日程度で,タバコおよびアルコールは週6日以上のんでいたが,肉食は週2,3日で,大腸癌の既往および家族歴はなかった. 今後の計画:現在までに43病変の標本ブロックを作製した.今後,40〜50病変程度を解析し,大腸癌危険因子との関連性について明らかにする予定である.
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