研究概要 |
1)シスプラチン感受性細胞株とその耐性株におけるDNA Intrastrand Cross-link形成量の定量 あらかじめ[^<14>C]thymidineでラベルした肺癌培養細胞PC-9ならびにそのシスプラチン耐性株PC-9/CDDP各々10^7個と[^3H]cis-dichloro(ethylenediammine)platinum(II)(cis-DEP、比活性16Ci/mmole、シスプラチンと同じ細胞内動態ならびに感受性プロフィールを持つ)を625nM(non-toxic dose)の濃度で培養液中にて6時間接触させ(TO)、その後cis-DEPを含まない培養液中で6時間(T6)、24時間(T24)培養した。各時点で細胞を回収しDNAを抽出、P1ヌクレアーゼとアルカリホスファターゼ処理を行なったのち、ラジオ液クロを用いてcis-DEP-GG adductの定量を行なった。耐性株においてTOでのadduct量は親株の約50%に減少していたが、T6,T24におけるadduct量は親株、耐性株ともTOにおける各々のadduct量の70%前後であった。 2)シスプラチン感受性細胞株とその耐性株における除去修復能の検討 シスプラチン2.4muMであらかじめ処理したプラスミドpAT153のDNA(約3.7Kb)200ngとintactなFromIプラスミドpBR322 DNA(約4.4Kb)200ngを基質としてWoodらの無細胞除去修復再現系(Cell,53:97-106,1988)を申請者が改変した方法を用い、対数増殖期にあるPC-9もしくはPC-9/CDDPより得たWhole Cell Extractを添加することで除去修復反応を30度3時間進めた。反応液からフェノール・クロロホルム処理でDNAを抽出、EcoRIでプラスミドDNAをlinearize後、1%アガロースゲル内で定電圧60V10時間の泳動を行ない、ゲルを乾燥、オートラジオグラフィーをとりデンシトグラムにて検討した。親株、耐性株いずれにおいても除去修復は生じていたが、pBR322に比較したp153のバンドの濃さの程度に耐性株、感受性株間で差をみとめなかった。 以上1)と2)により本研究で用いたシスプラチン耐性培養細胞株とその親株のDNA修復能には大きな相違は認められないと考えられた。
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