家族性周期性四肢マヒ(以下FPP)は、内分泌異常を伴わずに明らかな遺伝性をもって発症し繰り返す四肢マヒ発作を主徴とする進行性難治性疾患である。その原因は遺伝子異常に起因する何らかの電解質異常との関連が示唆されてはいるものの、まだその遺伝子異常はすべて明らかにされたわけではない。研究代表者の阿部らがfollowしているFPPの日本人大家系の遺伝子解析により、これら白人FPPで見い出された異変は日本人家系では見られないことが明らかにされた。阿部によりPCR法によるGArepeatを用いた遺伝連鎖解析の結果、この家系の遺伝子異常は筋Naチャンネル遺伝子と強く連鎖していることが、明からされた。 また本年度の研究では、進行性の筋萎縮を示し同様に家族性発症をする筋萎縮性側索硬化症(ALS)遺伝子の解析も行ない、白人には見られない日本人に特有の遺伝子変異(点突然変異)が見い出されたため、直ちに国際的なジャーナルに投稿し発表された(研究発表参照)。本邦でも始めてのこの家系はきわめて緩徐な臨床経過を示し、遺伝子変異と臨床的特徴がよく一致するものと考えられた。
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