1)神経原性筋萎縮患者における血清抗GM1 ganglioside抗体の検出 Camylobacter jejuni腸炎後Guillain-Barre症候群(GBS)2例・錐体路徴候を伴うchronic neuropathy 1例・筋萎縮性側索硬化症1例の血清に、抗GM1抗体が検出された.他に、抗GD1b抗体または抗GM2抗体が、各1例に検出された. 2)血清抗GM1抗体陽性患者の筋病理所見 GBSの1例で形質細胞浸潤と神経のbeaded fiberを認めた.chronic neuropathyの1例では神経のsproutingを認めた.これらの所見は、筋肉内での運動神経障害を示唆した。運動神経の筋肉内の分枝には、血液神経関門がないため、血中の抗運動神経抗体が容易に結合すると推定された. 3)抗GM1抗体陽性血清のマウス組織との結合性 上記4例の血清を用いたマウス坐骨神経の免疫組織化学を行ったところ、GM1の局在が知られているparanodal myelinの部分だけでなく、Schmidt-Lantermann切痕と軸索も全例で染色された.マウス骨格筋の免疫組織化学でも、運動神経分枝の軸索が染色され、GM1の局在とは一致しなかった.このため、抗GM1抗体は、GM1 gangliosideだけでなく、Schmidt-Lantermann切痕に局在するmyelin-associated glycoproteinとも交叉反応する可能性が示唆された. 現在、患者血清から精製した抗GM1抗体の反応性を検討しており、今後マウスへのpassive transferを試みる予定である。
|