内皮細胞由来血管拡張物質(EDRF)の一つであるNitric Oxide(NO)は最も注目されている分子である。NOと作用機序の共通性を持っている硝酸薬は狭心症の特効薬として100年以上も使用されているが、分子構造からもNO供与体とみなされている。本研究の一環としてNitroglycerinの作用と耐性形成モデルを用いてNO代謝を測定してその一部を発表した。EDRFの本態はNOよりS-Nitrosothiolであるといわれており、それを確認するためにthiol基をもつ化合物の血管拡張作用を解明したり、S-NO-AlbuminやS-NO-Captoprilの抗血小板作用や抗狭心症作用を解明し、一部発表した。特にS-NO-Captoprilについては合成・分子構造決定を行い2編以上の論文を作成し投稿中である。NOは交感神経活性に抑制的に働く事を高血圧患者で証明し、正常血圧者との比較を行った。異型狭心症患者ではAcetylcholine(ACh)を冠状動脈内に注入して血管攣縮の診断に用いるが、全身のNO代謝が異常に低下していることを証明した。本研究はこれらの患者のNO代謝を評価するデータ収集が主であったが十分な数(合計100例以上)の患者データが収集でき、データ解析を行い学会発表、論文作成を行う予定である。
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