(1)本年度は病的心のモデルである高血圧自然発症ラット(SHR)を用い、小動物の心臓の少量の検体より正確に総コラーゲン量を測定する方法の確実を行った。コラーゲンの定量にはコラーゲンに特異的なアミノ酸であるハイドロキシプロリンを定量する方法を用いた。コラーゲンは通常約13.4%のハイドロキシプロリンを含量するため、ハイドロキシプロリン含量に7.46をかけることによりコラーゲン含量をmg単位で算出した。湿重量100mg程度の心筋を用いることにより総コラーゲン量を正確に測定できた。 (2)高血圧自然発症ラット(SHR)の心筋組織を用い、画像解析によりコラーゲン容積率を現在算出中である。今後、生化学的手法で求めた総コラーゲン量と画像解析により求めたコラーゲン容積率の関係等を検討していく。 (3)病的心のコラーゲン含量が時間経過とともに如何なる変化を示すかを生化学的手法を用いて検討した。 高血圧自然発症ラット(SHR)および対照のWKYラットを用いて20週齢、30週齢のコラーゲン含量の変化を測定した。その結果、20週齢のSHRでは心筋コラーゲン含量が同週齢のWKYラットに比して有意に低値を示した。一方、SHRの心筋コラーゲン含量は30週齢で有意に増加したが、WKYラットの心筋コラーゲン含量は有意な変化を示さなかった。30週齢のSHRで認められた心筋コラーゲン含量の増加は左心室に認められる機能低下をよく反映していた。病的心の心不全発症機序を考える上で重要な所見と考えられる(投稿準備中)。
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