本年度は種々の抗癌剤についてCFU-GMに対する影響を検討した。 【方法】抗癌剤とCyAの同時併用の骨髄培養 骨髄液を採取し、比重遠心して単核球を分離採取し、2回洗浄後最終細胞濃度を1X10^6/mlになるように希釈した。抗癌剤とCyAを種々の濃度で加え、24穴平底プレートで72時間培養した。 顆粒球マクロファージコロニー(CFU-GM)アッセイ 72時間後に各wellからピペッティングにより回収した単核球を3回洗浄後にメチルセルロース法によるCFU-GMアッセイを行った。37℃、5%CO_2存在下で培養し、7〜10日後に40個以上の細胞集団をコロニーとして(5X10^4細胞当たり)算定した。 統計学的検定 有意差の検定には、T-testあるいはWilcoxson法を用いた。 【結果】VCR、DOXとVP-16 抗癌剤の濃度が増加するに従いコロニー数が減少するが、CyAを5mug/ml併用するとその減少が特に著しく、CyAは抗癌剤のコロニー形成抑制を増強する事が明かであった(P<0.05あるいはP<0.01)。しかし0.5mug/mlの濃度では、抗癌剤の併用でコロニー数にはほとんど影響がみられなかった。 Ara‐CとMTX 抗癌剤の濃度が増加するに従いコロニー数は減少するが、CyAを5mug/ml併用してもその減少は増強されなかった。 【考察】多剤耐性に関係するVCR、DOX、VP-16にCyA5mug/ml併用した場合には、コロニー形成が強く抑制されるのに対して、CyA0.5mug/mlの併用ではコロニー形成の抑制は軽度であった。一方Ara-CやMTXといった代謝拮抗剤ではCyAと併用してもコロニー形成抑制の増強はみられなかった。本研究の結果から、CyAでは高濃度(5mug/ml=3.8muM)になると症例によっては骨髄抑制をもたらしうるが、低濃度(0.5mug/ml)では骨髄抑制があまり問題にならないことを示唆している(第35回臨床血液学会総会発表、現在投稿中)
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