今日までわれわれ施設で開発した小児用冠動脈洞カテーテルを用いて川崎病既往児における冠動脈狭窄性病変等における影響及び心筋代謝について検討を行い報告してきた。さらに一連の研究の一貫としてPET法により、0-15標識水および^<18>FDGを使用し定量的解析を行い検討を加えたので報告する。 1)心筋血流量;正常冠動脈における心筋血流量は冠状情脈カテーテル法と同様に年齢の関係で10歳以上の平均心筋血流量は0.91±0.19ml/min/gでは、ほぼ成人報告例と同値を示した。しかし狭窄性冠動脈の関心領域の平均血流量は1.00±0.29ml/min/gで両者で統計学的に有意な差はなかった。これは酸素施摂取を規定する因子が1)心拍数2)壁ストレス3)収縮力が存在し、多分に影響を受けておりさらに、小児では容易に冠側副血行路が形成されるため絶対値の比較で有意な差がでなかったと思われた。 2)心筋糖代謝(糖負荷);平均心筋糖消費量は0.86±0.29mumol/min/gであった。狭窄性病変の個々の症例の画像上においても還流欠損を認める領域はなく、明らかに底値を示さなかった。 3)指標としての比率(心筋糖消費量/心筋血流量)を求めた。平均比率は、0.92±0.25であった。次に心筋血流量と心筋糖消費量と関係は、一次回帰曲線はY=0.95X-0.022(相関係数=0.61)でP<0.001であった。以上より正常冠動脈および心筋における心筋血流量と心筋糖消費量の関係は直線関係を認め、糖負荷の状態では通常糖代謝率は血流とパラレルであった。この指標による狭窄性病変の機能的判定で血流に比較して、糖消費状態の過剰状態のミスマッチ判定が可能であり、小児の病的心筋性状を鋭敏に検出可能と思われた。
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