ミトコンドリア異常症における患者形成機構の解析の基本は、変異ミトコンドリア遺伝子(mtDNA)の分配様式の解析である。ミトコンドリア異常症における特異点は、組織内で正常ミトコンドリア遺伝子(mtDNA)と変異mtDNAが存在していることであり、変異mtDNAの局在様式が、病態を決定している。本研究ではミトコンドリア異常症における変異mtDNAの分配、局在様式の解析のために、細胞内変異mtDNAの分配様式を末梢リンパ球において1細胞ごとの変異mtDNAを定量解析した。全身型であるMELASと病態が局在するLeber遺伝性視神経萎縮症(LHON)の異なる2病型において異なる血痂を得た。MELASでは、すべての細胞は変異mtDNAと正常mtDNAの共存型であるヘテロプラスミ-を形成し、変異mtDNAは安定状態で正常mtDNAと共存していた。LHONにおいては、正常mDNAのみの細胞集団と変異mtDNAを多量に持つ細胞集団が存在した。このことは、ミトコンドリア異常症の病型により変異mtDNAの分配機構が異なる可能性を示唆し、患者形成機構の解析に新たな知見を与えた。
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