MSD(multiple sulfatase deficiency)の培養皮膚繊維芽細胞におけるsulfatase代謝を検討する目的で、ArylsulfataseA(ASA)遺伝子を大量発現させる目的でレトロウイルスコンストラクトを作成した。これはある種のsulfataseを大量発現させるとその他のsulfataseの活性が低下するという報告がなされ MSDの病態生理に関連がある可能性が示唆されたからである。すなわちある1つのファクターが各種のsulfataseの活性発現には重要で、1つのsulfataseを大量発現させるとその活性化因子を占拠してしまい、その他のsulfatase活性が低下するということである。まず作成したレトロウイルスコンストラクトをパッケージング細胞である、PA317に導入し40個のコロニーを拾い、NIH3T3細胞を標的としタイマーを測定した。最も高タイタ-であったコロニーを実験に用いた。この作成したウイルスがヒトの培養皮膚線維芽細胞でASAを発現するか否かを検討した。結果してはヒト培養皮膚繊維芽細胞のASA酵素活性を5-6倍に活性上昇させた。また異染性白質脳症の患者の培養皮膚繊維芽細胞にも感染させてのASA酵素活性を正常近くまで回復させた このASAを大量発現させた培養皮膚繊維芽細胞における各種sulfatase活性およびその他のライソゾーム酵素活性を現在検討しているが、現在のところ測定した範囲では明かにそれらの活性は低下しいない。今後はまだ測定していないsulfataseの活性を測定してゆく予定である。このような方面よりの検討によりMSDの原因の究明を行ってゆくことを今後の目的とする。
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