研究概要 |
本研究の目的は1)ジピリダモ-ル負荷を用いたタリウム心筋シンチグラフィーを用いて心筋虚血の検出および定量的検討を行い,従来より用いられているトレッドミル運動負荷試験と比較,2)re-injection法をもちいた心筋細胞の生存性の検討であった.ジピリダモ-ル負荷は心電図モニター下に,0.7mg/kgの負荷を行った.得られたイメージングはSPECT像として表示し,さらにコンピューター解析を用いてseverity score(虚血性病変の重症度の指標)とextent score(虚血性病変の広がりの指標)を算出し,同一症例での虚血部位の時間による経過を観察した. 本年度は53例の川崎病と10例の対照群に対してジピリダモ-ル負荷タリウム心筋シンチを施行した.53例中30例はトレッドミル運動負荷も同時に施行した.虚血性変化は心筋シンチで15例,運動負荷で5例に確認された.これらはいずれも冠動脈狭窄病変を有していた.すなわち冠動脈狭窄病変の検出率は,心筋シンチが有意に鋭敏であった.初回検査で明らかな虚血性変化の確認された6例にはseverity scoreとextent scoreによるフォローアップを行い,全例で何らかの虚血性病変の改善を確認した.また,これらの症例にre-injection法を用いると取り込み部位の改善が認められ,心筋細胞の生存性に関しても時間の経過とともに改善していることが示唆された.本法を用いると心筋虚血の有無を非侵襲的に評価することが可能であり,また同一症例に関しては時間的経過と虚血の改善を評価することが可能であった.
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