AmphirejulinはTGF‐alphaと同様にケラチノサイト自身により産生されオートクリンに細胞増殖を促進する。一方Heparin‐binding EGF‐like growth factor(HB‐EGF)はマクロファージによって産生されケラチノサイトにはパラクリンに作用すると考えられている。本研究では正常ヒト皮膚及び乾癬病変部組織におけるAmphiregulin、HB‐EGFの局在と分布を免疫組織学的に明らかにしTGF‐alphaのそれと比較した。 研究結果 (1)正常ヒト皮膚及び乾癬病変部組織におけるHB‐EGFの発現 蛋白合成したHB‐EGFの部分構造を抗原として作製した抗体をアフィニティクロマトグラフィにてlgGに精製し用いた。 正常ヒト皮膚では表皮全層を主として細胞膜に局在し細胞質にもわずかに発現していた。また毛細血管の内皮細胞やエックリン汗腺のも発現していた。また真皮のマクロファージを含む炎症細胞にも陽性であった。 乾癬病変部組織では表皮全層に細胞膜及び細胞質に強く染色され非病変部に近いほど発現は弱くなった。 (1)正常ヒト皮膚及び乾癬病変部組織におけるAmphiregulinの発現について Amphiregulin構造の異なる一部分を、蛋白合成したものを、抗原として作製した3種類の抗体を用いた。正常ヒト皮膚及び乾癬病変部組織の凍結ブロックを薄切し切片を抗Amphiregulin抗体を用いて免疫染色を行い分布と局在を検討したがいずれも特異的な陽性所見を得られなかった。 結論 HB‐EGFマクロファージによって産生されケラチノサイトにはパラクリンに作用すると考えられていたが、ケラチノサイト自身もHB‐EGFを発現していることからオートクリンに作用する可能性をも示唆した。また乾癬病変部表皮に強く発現していることから細胞増殖の制御に重要な役割をしている可能性が考えられた。
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