研究概要 |
自家モデルとしてDA近郊系ラット(MHC:RT1av1),同種モデルとしてWistar系ラット(MHC:RT1u)を用い躯幹より採取した皮膚からそれぞれの表皮細胞を得た.各細胞の混合比率を調整して播種し自家表皮細胞比率の異なる各種細胞浮遊液を作成後Dulbecco-Vogt modification of Eagle's mediumおよびHam's F-12mediumを3:1の比率で混合したこれに牛胎児血清,hydrocortisone,insulin,transferrin,triiodo-thyronine,choleragen,adenineを補足した培地で培養し、培養3日目以降は更にepidermal growth factor(を添加した培地を使用した。培養7日後、十分重層化の得られたところで培養表皮シートを7週齢のDAラット背部に作成した直径2cmの全層皮膚欠損創に移植し,移植後は経時的に組織を採取し組織学的,免疫組織化学的に自家および同種培養皮膚細胞の動向ならびに創の上皮化について検討した.その結果自家表皮細胞率が50%のモデルでは炎症性細胞浸潤が顕著となり,更に自家表皮細胞率を25%まで落とした場合は移植後10日目の像で基底層の乱れや表皮細胞の空泡化が認められた.しかし移植後20日目には表皮基底層は再構成され移植後70日迄の観察では自家培養表皮と差を認めなかった.また免疫組織化学的検討では自家表皮細胞の増殖に伴い同種表皮細胞が移植後10日目頃から徐々に表層に押しのけられるように脱落し最終的には自家表皮細胞に完全に置き換わっていた.今後更に自家表皮細胞率を減少させ同様の評価が必要であると考えられた.
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