研究概要 |
我々は骨髄由来樹枝状表皮T細胞(dendritic epidermal Tcell:DETC)は胎仔胸腺由来DETCと異なり、Tcell receptor(TCR)-alphabeta,CD8を発現しており、表皮に遊走後表皮内である程度分化する可能性を示した。つまり、それは表皮に遊走してきた時点(骨髄移植3〜4ケ月後)では殆どの骨髄由来DETCはTCR-alphabeta^-/CD3^-であるのに対し、その後時間の経過(6ケ月〜1年後)とともに殆どの骨髄由来DETCは TCR-alphabeta^+/CD3^+となるという事実に基づいている。 このDETCが表皮内で分化する可能性を直接証明すめため、骨髄由来DETCが宿主マウス表皮に出現した時点で表皮(皮膚)を採取し、それを第2の宿主マウスに移植し骨髄由来DETCのTCR-alphabeta/CD3の発現を経時的に観察した。なおこの際、第1,第2の宿主マウスの胸腺は摘除しておくことにより胸腺の影響を全く除くことが出来る。当初は表皮のみの移植を試みたが生着しないものが多く、しかもたとえ生着しても表皮内の骨髄由来DETCは皮膚移植後著しく減少してしまうため、この方法での移植は断念せざるを得なかった。そこで真皮も含めた全層皮により同様の検討を行った。全層植皮の場合でもやはり骨髄由来DETCの移植後の減少はある程度認められたものの、TCR-alphabeta^+/CD3^+DETCの比率は移植後の時間の経過とともに増加した。 この結果は、表皮のみを移植したわけではないため、表皮に到達した骨髄由来DETCが表皮内で分化したという証明にはならないものの、少なくとも皮膚の中である程度分化しうることが直接的に証明されたといえよう。
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