研究概要 |
神経線維腫症1型(NF1)責任遺伝子がクローニングされ、そのcDNAから予想される蛋白質の相同性解析の結果,NFl蛋白が癌遺伝子産物rasの不活化を促進するGTPase activating protein(GAP)活性を有していることが明らかにされた.この発見により現在NF1遺伝子は癌抑制遺伝子に分類されている.NF1-GAP related domain(NF1-GRD)内にはalternative splicing機構によって2種類の転写産物が作られ,そのsplicingの変化は神経系細胞の分化と深く関わっている.GRDのalternative splicing制御異常によって分化異常(NF1の発症や腫瘍の形成)を来す可能性も考えられ,GRDでの遺伝子変異はホットスポットといえる.我々はすでにPCR-SSSCP法を用いて50試料を解析し,CnRDより3'端側のLOH変異をNF1患者に生じた悪性神経鞘腫で見つけている.便なる解析でGRDでの遺伝子変異を検索する. 現在NF1遺伝子には50のexonがあることが報告されているが,初期に報告された4つのexonについてすでに解析を行い上記報告をした.今回はこの方法でさらにNF1-GRDについてプライマーを設定しPCR-SSCP解折を行った.前出の50試料について検索を行っているが,現時点では変異を検出していない.今後とも多数の試料ならびにexonについて検索していく予定である.
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