研究概要 |
(1)抗凝固剤の腫瘍内血栓に及ぼす影響 【対象と方法】マウスに自然発生した扁平上皮癌をマウス下腿に移植し大きさが7mmになったものを使用した。方法は抗凝固剤を投与したときとしないときで腫瘍を摘出後に細切しこれを血栓溶解剤であるウロキナーゼの溶液でdigestionし、遊離してくるFDPの量を測定した。抗凝固剤としてはウロキナーゼ、ヘパリン、TPAを用いて検討した。 【結果】ウロキナーゼ、ヘパリン、TPAは腫瘍から遊離してくるFDPの量をそれぞれ最大で31.2%,12.8%,21.5%低下させた。従ってこれらの薬剤は腫瘍内の血栓形成を抑制していると考えられる。 (2)抗凝固剤の間欠的血流に対する影響 【対象と方法】マウスに自然発生した扁平上皮癌と横紋筋肉腫を用いて検討した。これらの腫瘍を移植したマウスに20分間隔で蛍光色素であるHoechst33342とDioc7を尾静脈より注射しどちらか一方にのみ染まっている血管の割合を、抗凝固剤を投与したものとしないもので比較した。扁平上皮癌ではどちらか一方の色素で染まる血管はきわめて少なく判定できなかった。横紋筋肉腫では通常20%前後の血管が一方の色素のみで染まるが今回検討したウロキナーゼ、ヘパリン、TPAではこの血管の割合に明らかな変化は認めなかった。 (3)これらの結果から間欠的な血流は血栓に依存してできるのではない可能性が示唆された。
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