研究概要 |
本研究の最終的な目的は、エイコサノイドおよびこれにより調節されるサイトカインが放射線の抗腫瘍効果とどのように結び付いているかを明らかにすることで、放射線増感効果の臨床応用や放射線治療後に生じる晩期障害の応用可能か否かを検討することである。本年度は基礎実験として、サイトカイン測定の手技を安定なものにするために、正常ヒト血液中の単核球を用いてガンマ線に対する単核球のサイトカイン産生能を定量、分析した。 方法としては、正常人ボランティアの血液より分離した単核球から更に単球分画のみをとり出し、ガンマ線9G_y照射後に培養液中に放出されるサイトカイン(TNF:Tumor Necrosis Factor,IL-2:Interleukin-2)量をELISA法にて定量した。この際、サイトカイン産生刺激物質として知られるLPS(Lipopolisaccaride)を加えた。この結果、LPS刺激後の単球からのTNF産生は、8時間後をピークとしてその後徐々に低下した。また対照として照射を行なわず、LPS刺激のみを加えた群では8時間後において照射群よりも有意に高いサイトカイン活性わ認めた。この結果はKrivenkoらによる先行実験の結果に反するものであったため、現在この結果の相違の原因を明らかにする追試験を計画中である。そこまで解決した段階で放射線の抗腫瘍効果に対するサイトカインの関与を検討する動物実験に進みたいと考えている。
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