研究概要 |
MRI用造影剤とあらかじめDNAに作用することの知られている抗癌剤との相互作用から姉妹染色分体交換(SCE)を用いて、MRI用造影剤が細胞内に入り核との作用があるのか否かを推定しようとして実験を行なった。 MRI用造影剤として、Gd-DTPA,Gd-DTPA-BMAを用いた、抗癌剤としては、MMC,Ara-Cを用いた、2mlの末梢静脈血に対してGd-DTPA,Gd-DTPA-BMAを加えて通常のFPG法で培養をし、染色をした。SCEの数を光学顕微鏡で数えstudent t-testで検定した。加えた造影剤の量は各々0.005ml(1.25mM),0.05ml(12.2mM),0.5ml(100mM)であり、抗癌剤は両者とも2X10-^<10>Mに調製し培養開始24時間後に添加した。 結果としてMRI用造影剤と抗癌剤の両者を用いて培養した群は、個々に培養した群に比べ有意にSCEの頻度が高く、造影剤の濃度に依存して頻度が高くなっていた。このことは双方の相互作用のあることを考えさせる。このことからMRI用造影剤も抗癌剤と同じ様に末梢静脈血のリンパ球のDNAに直接作用したか、あるいは細胞膜を通して何らかの作用があったものと考えられる。尚、DNA合成阻害剤のMMCと、DNA修複阻害剤のAra-Cとの間の差異は認められなかった。 従来MRI用の造影剤は細胞外液に存在し細胞内に取り込まれないので安全性が高いと考えられてきたが、本実験より細胞内の核、更に核内のDNAと作用していると推測され、より詳細な安全性の検討が必要と考えられる。
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