研究概要 |
1.目的 (1)拍動流を作成し、これをMR撮影装置で確認する。(2)動脈瘤ファントームに拍動流を流し、心電図同期3-dimensional(3D)time-of-flight(TOF)MR angiographyを撮影し、心時相のどの時期に撮影すると動脈瘤がもっとも良好に描出されるかを調べる。2.方法 (1)拍動流発生装置はポンプ2台(ベローズポンプと定常流ポンプ)とシークエンサーからなる。シークエンサーでベローズポンプをコントロールし、1秒拍動、0.5秒停止することができる。また、作成した模擬心電図発生装置をシークエンサーに接続し、拍動流に同期した信号をMR撮影装置に送ることが可能である。(2)血管ファントームは内径10mmのテフロンチューブである。嚢状動脈瘤ファントームとして頚部径。体部径、高さ(mm)がそれぞれ9,9,12と3,9,9のものを作成した。(3)水を拍動流としてファントームに流し、頭部用コイルを装着したMR撮影装置(Magnetom H15,Siemens)によりphasecontrast法で流速と波形を測定した。(4)次に心電図同期3D TOF MR angiographyを得た。パラメーターはFISP法でTr/Te/FA=44/7/20,slab thickness=32mm,16 partitions,32phasesであった。3.結果 (1)拍動流発生装置により血管ファントームに流れた拍動流は最高流速70cm/s,最低流速25cmで脳動脈血流に近い流速波形であった。(2)今回用いた動脈瘤ファントームのうち頚部径の小さいファントームでは、収縮期に相当する流速の速い心時相に一致して頚部近傍の動脈瘤内に乱流によると思われる信号低下が認められた。頚部径の大きいものではこのような所見は認めなかった。4.結論 (1)拍動流を動脈瘤ファントームに流し、心電図同期3D TOF MR angiographyを施行し、心時相に依存した描出の違いのでる可能性が示された。(2)動脈瘤の形態及び流速と3D TOF MR angiographyの描出能との関連がさらに明瞭になれば、心時相の適切な時期に効率良くデータを収集することにより動脈瘤を良好に描出することができる可能性がある。
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