おもにin vitroで本法の有用性を検討した。 使用した細胞は、正常ヒト線維芽球細胞AG1522およびN3、Ataxia Telangiectasia 患者由来ヒト線維芽細胞AT5BIおよびAT2052、ヒト悪性黒色腫細胞Melanoma903、ヒト線維肉腫細胞HT1080の放射線感受性の異なる6種の細胞である。これらの細胞とM期Hela細胞を細胞融合させ未成熟染色体凝集を誘導した。ヒト第4染色体に特異的なDNAプローブを用い蛍光in situ hybridizationを行い、ヒト第4染色体のみがfluoresceinによる黄色の蛍光を発し、他の染色体はpropidium iodideにより赤色の蛍光を発するよう二重染色し、容易に第4染色体異常が観察可能となった。 まず、放射線照射後24時間後の細胞を用いて、それぞれの細胞の放射線感受性をコロニー法にて求めた。次に、それぞれの細胞系の放射線照射直後の第4染色体切片数と放射線線量との関係を求めた。放射線照射直後の第4染色体異常の頻度は、照射線量に比例し、同一の照射線量では放射線感受性の異なる細胞でも等しかった。一方、放射線照射24時間後の第4染色体切片数と放射線線量との関係を求めると、それぞれの細胞系で、染色体切片数は放射線照射直後に比較して減少し、さらに染色体切片数は放射線線量の増加にともない増加した。同一の放射線線量では、放射線感受性の高い細胞ほど第4染色体切片数が多かった。また、細胞の放射線感受性と無関係に、放射線照射24時間後の第4染色体切片数から細胞生存率が推定できた。 手術組織を用いた研究は、現在進行中で、症例数が少なく結論はでていない。今後、症例を増やし本法の臨床応用への可能性を検討し、放射線感受性予測法としての確立をめざす。
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