我々は、核医学的手法(Tc-99mMAA肺血流SPECT)を用いて、肺切除を予定されている肺癌患者の術前データから術後肺機能を予測する方法を考案した。本法の臨床的有用性を証明することが本研究の目的である。 52例の肺癌患者に本法を試み、術前に施行した肺血流SPECTから術後肺機能を予測し、術後1ヶ月および術後4ヶ月に実施した肺機能と比較検討した。また過去に報告されている方法として、肺血流PLANARや胸部CTを用いた予測法を同時に施行し、これらの方法と本法を比較した。得られたデータを解析した結果、 得られたデータを解析した結果、肺血流SPECTを用いた術前予測値と術後実測値の間に良好な相関が証明できた。術前に予測した術後1秒量が0.8リットル以下の場合、術後低肺機能となり在宅酸素療法が必要になるケースが多発した。また、肺血流PLANARや胸部CTを用いた予測方法より肺血流SPECTを用いた方法がより正確に予測ができる傾向がみられた。 肺血流SPECTは非侵襲的検査であり、肺の局所機能を比較的容易に反映できる検査法である。今回我々が考案した方法は、肺癌患者、特に高齢者や肺機能に障害を持つ患者の肺切除に際して切除範囲や手術方法を考えるうえで、あるいは術後低肺機能等の術後障害を予測するうえで有用な情報を提供できると考えられた。本研究の結果は現在投稿準備中である。
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