研究概要 |
1.アビジン-ビオチンの強固な結合を利用して、短時間に腫瘍イメージングを行う方法を開発した。すなわち、放射性核種封入リポソームにビオチンを結合させてこれを投与し、腫瘍に集積させた後、アビジンの後投与によって血中に残存するリポソームを凝集させ、細網内皮系に移行させた。Sarcoma180担癌マウスを用いた系で、この方法により投与後2時間で高い腫瘍/集積比が得られ、腫瘍イメージングが可能となった。 2.1の手法は短半減期核種の使用を可能にする。そこで、^<68>Gaおよび^<99m>Tcの高率かつ短時間でのリポソーム封入について検討を行った。超遠心によるリポソームと未封入核種との分離:等張液の比重差を利用し、リポソーム内液を5%mannitol、外液を0.9%NaClとして400,000×g、7分の遠心によりリポソームを沈殿として定量的に回収できた。従来のゲル濾過法に比して時間短縮とリポソーム溶液減容(濃度)が可能となった。^<68>Gaの抽出:^<67>Gaは脂溶性配位子oxineとの錯体としてリポソームに封入される。ところが^<68>Gaでは^<68>Ge-^<68>Gaジェネレータ溶出溶媒のHClが錯体形成を阻害し、またリポソームの変性を引き起こした。そこでGa-oxine錯体のCHCl_3抽出を試みた。Ga抽出量はpHおよびoxine濃度に依存したが、多量のoxineは次ステップであるリポソームへのGa封入を阻害するため至適濃度を選ぶ必要があった。^<68>Ga封入時間の短縮:封入率90%以上に達する時間は温度に依存、反応温度を60°Cに上げることにより10分に短縮できた。^<99m>Tcの封入:HMPAOとグルタチオンを用いるPhillipsらの方法*を応用し、90%の封入率が得られた。 これらの検討の結果、イメージングに十分な高放射能濃度でかつ短時間での封入が可能となった。 3.1の手法以外に、血中でリポソームを崩壊させ残存放射活性を直接腎排泄に導く方法に関しても実施計画に基づき検討を行ったが、現時点では成功には至っていない。引き続き検討の予定である。 *,Nucl.Med.Biol 19,539-547,1992
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