研究概要 |
長期の強制歩行ストレスを加えて作成したうつ病モデルラットにcate-cholamine(CA)涸渇薬のreserpineを投与して、CA代謝物の3-methoxy-4-hydroxyphenylethyleneglycol(MHPG)及び3,4-dihydroxyphenylacetic acid(DOPAC)の細胞外への遊出状態をin vivo microdialysis法を用いて検討した。結果はreserpine投与によるfree及びtotalMHPGの反応については、対照群では、投与1〜2時間後の増加(前値より50%以上増加)とその後の低下(9時間後には前値より70%以上低下)がみられた。モデル群では前値に対する増加及び低下の変化率は、対照群に比べて有意に小さかった。回復群では、初期の増加は対照群に同様の変化を示したが、低下はより緩やかであった。reserpine投与によるDOPACの反応については、対照群と回復群において増加傾向がみられたが、モデル群ではそのような傾向はなく、しかも3時間後に対照群に比し有意に低値を示した。対照群にみられたMHPGの2相性の変化は、neuron内の貯蔵顆粒膜への取り込みを阻害されたnoradrenalinが急速に代謝され細胞外へ遊出したものと思われた。モデル群ではその過程に何らかの障害があるものと推定された。同モデルでは以前、青斑核細胞の粗面小胞体膜構造の変性が認められており、貯蔵顆粒膜にも形態的、機能的変化が起こっている可能性や、またこのモデルではCAが、何らかの異常な状態で貯留しているために、reserpineにより涸渇されにくいという可能性も考えられた。
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