光療法の作用機序を検討することを目的として、以下の仮説に基づき本研究を行った。 仮説:高照度光療法の作用機序として、抗うつ薬において認められているような作用機序、即ちbeta-adrenergic receptorのdown regulationを起こすことによって発現するのではないか。 方法:ウイスター系ラットを用い、a)イミプラミン(10mg/kg/day:IP)投与群(n=12)、b)高照度光(2500Lux:1200-1600)照射群(n=12)、c)生理食塩水投与群(IP)(n=12)の3群に分け、2週間の処置を行った後、beta-adrenergic receptorのstimulantであるsalbutamol(3mg/kg)を15日目に生理食塩水を16日目に投与し、或いは15日目に生理食塩水を16日目にsalbutamolを投与(IP)し、cross overにて行動量の抑制率観察を行った。 結果:イミプラミン投与群、高照度光照射群、生理食塩水投与群のsalbutamolによる抑制率は、それぞれ92.1%、77.7%、42.8%であった。生理食塩水投与群に対してイミプラミン投与群の抑制率の差は統計的に有意(P<0.05)であり、高照度光照射群でも統計的に有意とならなかったが(P<0.1)、生理食塩水投与群に較べ抑制率は低い傾向が認められた。 考察:イミプラミン投与群と高照度光照射群では、beta-adrenergic receptorのdown regulationが認められ、-方生理食塩水投与群では認められなかった。この結果は、高照度光が抗うつ薬と同様な作用機序で抗うつ効果を示すのではないかという我々の仮説を支持するものである。今回、高照度光照射郡で認められたが統計的に有意とならなかったため、現在nを増やして検討中である。
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