生体において、灌流圧の変化は腎臓の傍糸球体細胞からのレニン分泌に影響を与え、レニン・アンジオテンシン系を介して血圧の調節を行なっている。今回我々は、培養傍糸球体細胞を加圧装置下に置き、傍糸球体細胞における圧受容体の存在を直接証明することを試みた。SDラットより腎傍糸球体細胞を分離培養した後加圧装置に接続し、以下の実験を行なった。 1.圧が0、40、80mmHg加わった状態での、レニン分泌率を測定する。 2.1.の実験で得られた培養上清中のサイクリックAMP、プロスタグラジン(PG)を測定する。またPG合成阻害剤を培養液中に加え1.と同様の実験をする。 3.百日咳毒素でインキュベーションしておいた細胞で1.と同様の実験をする。 4.Caチャンネルブロッカー、CIチャンネルブロッカーでインキュベーションした後、1.と同様の実験をする。その結果以下のことが明らかにされた。 1.腎傍糸球体細胞からのレニン分泌は圧依存性に抑制される。 2.加圧によるレニン分泌抑制において培養上清中のサイクリックAMP、プロスタグランジン(PG)に変化は見られなかったが、PG合成阻害剤は加圧によるレニン分泌抑制を部分的に抑制した。 3.百日咳毒素は加圧によるレニン分泌抑制を完全に抑制した。 4.Caチャンネルブロッカー、CIチャンネルブロッカーは加圧によるレニン分泌抑制を部分的に抑制した。 以上より、腎傍糸球体細胞において圧によりレニン分泌は抑制され、その機構にG蛋白を介したCaチャンネル、CIチャンネル、PGの関与が示された。
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